スーパーには、季節によって小さな帆立貝が安価で売っています。パッケージには「稚貝」や「帆立稚貝」といった表記がされていますよね。
これとはまた別に「ベビーホタテ」という表記のボイル品や冷凍品などの加工食品もあります。
●この「帆立の稚貝」と「ベビーホタテ」は違う種類の貝なのか?
●そもそもホタテとは違う小さい種類の貝なのか?
これらの疑問をこの頁では解説していきます!(๑•̀ㅂ•́)و✧
帆立稚貝(ベビーホタテ)の情報 5/8頁
[5頁] 稚貝とベビーホタテの違い
[8頁] 帆立稚貝の長期での保存法(coming soon)
5頁目の概要
- 帆立稚貝とベビーホタテの違いを解説
帆立の稚貝とは?
まだ幼い状態の帆立
それではまず、そもそも「帆立の稚貝」とは何なのかを説明します。
スーパーなどで、「帆立の形」をした「小さな貝」を見かけることがあるかと思います。これが「帆立稚貝」です。
要は「帆立の子供」、「帆立の赤ちゃん」ということであり、帆立と似ている小さい貝ということではありません。
Point!
- 「稚魚」や「幼稚園」の「稚」と同じ意味。
- 「まだよく成長していない幼い帆立」ということ。
稚貝の状態で安価に出回るわけ
さて、ここで疑問を抱く方もいるかと思います。
大きく立派な帆立貝の「成貝」は高値で販売されていますよね?
それでは何故、そこまでのサイズに育てずに小さく安価な「稚貝」の状態で出荷されているのでしょうか?(。´・ω・)
ムム?
Point!
- 大きな帆立、いわゆる「大人」になった貝は「成貝」と言います。
養殖で間引いたものを出荷
その答えは、花や野菜を育てる時と同じ理由になります。
家庭菜園やガーデニングでは生命力が強い苗を残し、その生育環境を良くするために他の芽は「間引く」という工程があります。
同じように帆立貝の養殖においても、より良い個体を選別して元気に育ってもらうために、他の個体を間引きして成育環境を良くする必要があるのです。
いわゆる訳あり商品の一種も
間引かれる稚貝の中には、上の画像のような殻が割れたり、変形していたり、または付着物があるものも含まれます。
分かりやすく言ってしまえば、いわゆる「訳あり商品」の一種である、と捉えることもできるでしょう。それなら安く販売されているのも納得ですよね?
Point!
- 大きさや形などで間引きされた稚貝が、貝殻付きの「帆立稚貝」として店頭に並んでいるというわけです。
キレイな状態の帆立稚貝
訳あり商品的なものではなく、とてもキレイな状態の帆立稚貝が出回っていることもあります。これは純粋に養殖数が過密になるのを防ぐために間引いた稚貝だと思われます。つまりこの場合の稚貝は、かなりお得である!と言えますね。
ベビーホタテとは?
産地がベビーホタテ用に養殖
帆立の稚貝は、幼い帆立であるということは前述した通りですが、それでは「ベビーホタテ」とは何なのでしょうか?
上の画像は、青森県むつ湾産「蒸しベビーほたて(生食用)」です。むつ湾で養殖されている帆立の多くはベビーホタテとして出荷されています。
稚貝として出回るサイズよりも一回り大きくなった半成貝をボイル加工したものです。
Point!
- ベビーホタテとして加工するために専用に養殖されていると言えます。
- 「半成貝」とは、「成貝」になる手前の貝のこと。生後1年半ほどの状態。
販売者が稚貝を加工したもの
同じくベビーホタテ、またはボイル帆立などとして販売されているものの一例として、販売しているスーパーが「加工者」になっているものがあると思います。
これは仕入れた稚貝を「茹でる」または「蒸す」といった「加熱」する工程を経て、スーパーの売り場に並んでいるものも含まれるでしょう。
Point!
- 必ずしも「半成貝」が使われているわけではなく、「稚貝」として流通しているものが「ベビーホタテに加工され販売される」場合もあると言えます。
- ゆで、又は蒸した魚介類及び海藻類(缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く。)
食品表示基準 内閣府令 本則・附則より引用
- 「加工」とは、新たな属性を付加する行為であり、加工行為を行う前後で比較して、本質的な変更を施さない行為が該当します。
- 「ゆで、又は蒸した」とは、湯通し(ブランチング)のほか、水又は湯による素ゆで、塩を加えた塩ゆで、蒸気による蒸しなどを施すことです。
食品表示基準Q&Aより引用
販売者による加工
スーパーなどの「販売者」が、冷凍されたベビーホタテをロットで大量に仕入れ、それを「小分けパッケージ」に加工して販売している商品も多くあります。
加工品によってはホタテ以外も
上の画像はスーパーで購入した缶詰です。商品名は「ベビーほたて水煮」となっています。ということは、帆立の稚貝、または半成貝を水煮に加工したものだと思いますよね。
こちらが水煮の缶詰を開封した様子です。
大きさとしては、養殖ものの半成貝であるベビーホタテより一回り小さめで、「稚貝サイズ」に近いかと思います。
Point!
- 自分で下処理した稚貝に比べれば身の旨味が薄いですが、それなりに量もあり1缶100円なのでお手頃で悪くないです。
よく使用されるアズマニシキ貝
さて、ここでパッケージの裏面の材料名の記載を見てみましょう。
そう、実は「ベビーホタテ(帆立の半成貝)」ではありません。「帆立の稚貝」でもない。
つまりこれは「帆立貝ではない」のです。Σr(‘Д‘n)
ホエ?
その実態はアズマニシキ貝!
一部のシーフードミックスや缶詰、冷凍食品など、材料名を見るとアズマニシキ貝だったりします。アズマニシキ貝がベビーホタテとして使われている商品は多々あるのです。
Point!
- 「ベビーホタテ」の中には「アズマニシキ貝」が含まれる場合もあると言えます。
アズマニシキ貝
アズマニシキ貝は、ホタテ貝と同じ「イタヤガイ科」に分類される二枚貝です。姿もホタテ貝に似ていますが、貝殻が赤みがかっていることから「アカザラ(赤皿)貝」とも呼ばれます。日本でも広い海域に生息していますが、市場に流通することは少なく、ほぼ地元のローカルで食されています。
帆立稚貝とベビーホタテの違い
帆立の稚貝 = ベビーホタテ
「帆立の稚貝」と「ベビーホタテ」とは何なのか?ということを解説してきましたが、それらをまとめてみましょう。(σ* ゚ー゚)σ
「ベビーホタテ」は直訳すれば「赤ちゃん帆立」。
「帆立稚貝」は「まだよく成長していない幼い帆立」という意。
どちらも「幼い帆立」
その名が示す通り、「まだ幼い」という点において「イコール」と言えます。
アズマニシキ貝という観点
ベビーホタテと銘打った加工品の中には、アズマニシキ貝を使用したものがあるということは前述しましたが、実は小さなアズマニシキ貝は、その見た目もほぼ同じことから帆立稚貝として販売される場合もあるようです。
Point!
- どちらもアズマニシキ貝で代用される場合があるという観点で言っても「イコール」と言えるでしょう。
帆立の稚貝 < ベビーホタテ
前述したように、産地から出荷されるベビーホタテは、1年半ほど生育した「半成貝」が原料となります。
対して、帆立稚貝として出荷されるものは生後1年ほどの貝です。
出荷される成長段階の違い
帆立稚貝が幼稚園児だとしたら、ベビーホタテは小学生や中学生。
広義では成長段階も大差は無い
生産者ではなく、販売者が「帆立の稚貝」を加工して「ベビーホタテ」として販売している場合もあると思われます。
また、晩夏~秋に出回る稚貝のサイズは、かなり大振りなものもあります。
この二点を踏まえると、広義の意味では出荷の成長段階の違いは「ほぼ無い」と考えることもできるでしょう。
Point!
- ここ数年、稚貝の販売状況を観察していますが、晩夏~秋に大きな稚貝が出回るかどうかは、その年ごとに違うようです。
生鮮食品 OR 加工食品
「帆立の稚貝」と「ベビーホタテ」の最も大きな違いは、販売されている段階での状態であると考えることができます。
殻付きの帆立稚貝に「ベビーホタテ」というラベルが貼ってある、または、ボイル品や冷凍品の商品名に「帆立稚貝」と記載されている、なんて例は見たことはありません(私が見たことがないだけかもしれませんが)。
生鮮食品か、加工食品かの違い
殻付きで活きている「生鮮魚介」か、ボイル・剥き身などを経た「水産加工品」か、という商品形態の違い。
ベビーホタテという名前
「ベビーホタテ」「ベビーほたて」「ベビー帆立」という名称は、特許情報を調べてみたところ、「シーチキン」などの様に商標登録はされていませんでした。つまり固有の商品の名称ではなく、全国に広く浸透した一般的に使われている名称であるということです。
まとめ
稚貝もベビーホタテも幼い帆立
帆立の稚貝とベビーホタテは同じ種類の貝、つまりどちらも「幼い帆立」でありながら、いくつかの要因によって呼称が異なります。
購入する際の観点で言えば、
「帆立稚貝」
●活きているので鮮度良し
●下処理した茹で汁も活用できる
●しかも安価です。
「ベビーホタテ」
●稚貝より身が大きい
●下処理の手間が省ける
●時短になり時間を有効活用できる。
・・・と、どちらにもそれぞれの良さがあります。その都度、ご自身に合った方を選んで美味しく味わって下さい。( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
まとめのPoint!
- どちらも幼い帆立
- 出荷される際の成長段階が違う
- 販売形態によって呼称が変わる