梅雨の前後は、梅と共に「小梅」も出回る季節です。小梅と言えば、駄菓子でもお馴染みの「カリカリ小梅」。今回は、そんなカリカリ小梅の上手な漬け方をご紹介していきます。
できるだけシワが寄らずにまん丸に漬けれるコツも併せてご紹介していきますので、カリカリ小梅作りに興味がある方は必見ですよ~!
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梅仕事の情報 2/6頁
[2頁] カリカリ小梅の上手な漬け方
[5頁] 梅シロップの作り方-coming soon-
2頁目の概要
- カリカリになる原理、まんまるに漬けるコツも紹介。
カリカリ小梅作りの用意
カリカリ小梅の材料と道具
まずはカリカリ小梅を作るための知識を頭に入れておきましょう。手始めに材料と道具の把握です。
- 熟していない青い小梅
- 塩(小梅の重量の18%)
- カルシウム液
※小梅を赤く染める場合は「赤梅酢」も必要。
Point!
- 熟して黄色っぽくなった小梅でも作ることは可能ですが、ベストのカリカリ具合にするためには「熟していない青い小梅」が重要。
緑なのに「青い小梅」
「熟していない青い小梅」と前述しましたが、これは実際には「緑色の小梅」のことです。みなさんも普段の生活で、緑色の葉物野菜を「青菜」と呼んだり、緑色の信号を「青信号」と呼んだりしていると思います。これは古来の日本語の「青」という表現に「青色」と「緑色」が含まれていた時代があり、その概念が綿々と現代にも続いているということです。
梅干し作りの場合は「干しかご」なんかも必要ですが、カリカリ小梅を作る際は不要です。また、漬物道具が無い場合でも台所用品などで代用することができます。
- 漬物容器
- 押し蓋
- 重し
- 漬物袋
Point!
- 代用品の詳細やポリ袋と漬物袋の違いは下記の記事を参照。
カルシウム液とは?
カリカリ小梅作りの材料欄に「カルシウム液」と記載しましたが、これは小梅のペクチンと反応するカルシウムを含有した液体です。
このカルシウム液は市販品もありますが自分で作ることもできます。
- 梅酢 600ml
- 卵の殻 2個分
- 貝殻 20~30枚
- にがり 30ml
※小梅1kgに使う量です。小梅500gなら半分。
※梅酢が無ければ「酢400ml・水200ml」で代用可。
Point!
- カリカリ小梅作りにはカルシウム液が超重要になってきます!
ペクチンとは?
梅をはじめ果物や野菜の果肉が硬いのは「ペクチン」によるものです。
ペクチンは野菜や果物の細胞壁に存在する多糖類で、ペクチンが「細胞間の接着剤」の役目を果たし、果肉の硬度を保っています。
Point!
- 加熱したり熟したりすることでペクチンが分解されて果肉が柔らかくなります。
カルシウム液の作用
それではカリカリ小梅作りにおいて、なぜカルシウム液が重要なのか?
それは
カルシウム液がペクチンの分解を抑えるからです。
Point!
- ペクチンとカルシウムが結合することで細胞組織の硬度が保たれ、カリカリ小梅の「カリカリ感」を保持することができます。
フルーチェとペクチン
みなさんお馴染みのハウスのフルーチェ。1976年発売のロングヒット商品です。フルーチェは牛乳を注ぐことでゲル化して凝固しますが、これも商品に含まれるペクチンと牛乳のカルシウムの結合を利用したものです。
カリカリ小梅作りの流れ
卵の殻、貝殻などでカルシウム液を作りる。
アク抜きやヘタ取りなど小梅の下処理をする。
小梅に塩をすり込み追熟を止める。
カルシウム液で小梅を漬けていく。
塩を追加して、更に5日間漬ける。
カルシウム液の中に沈殿した成分を濾す。
保存瓶に入れて完成です。
Start!
- それでは以下からは、作り方の詳細をご紹介していきます!
カリカリ小梅の漬け方
カルシウム液の用意
Point!
- オーブンで乾燥させる方法もあります。
Point!
- 「にがり」の主成分は塩化マグネシウムで、マグネシウムもペクチンと反応します。
- 商品によっては塩化カルシウムなども含有しています。
Point!
- カルシウム液の材料の分量は 上の項目 を参照。
市販のカルシウム液でもOK
上記の商品をはじめ、色々なメーカーからカリカリ小梅用の液体が販売されています。
Point!
- 塩化カルシウムなどを主成分とした市販のカルシウム液なら、カルシウム液を作る作業を省力できて便利。
小梅の下処理
Point!
- 塩は2回に分けて使います。
小梅と塩の量
< 18%の塩とその半量 > | ||
---|---|---|
小梅の重量 | 18%の塩 | 18%の半量の塩 |
500g | 90g | 45g |
1kg | 180g | 90g |
500gの小梅を漬ける場合、必要な塩は90gになります。それを2回に分けて使うので1回分は45gとなります。
Point!
- 梅に塩をすり込み細胞を傷つけることで、追熟して果肉が柔らかくなってしまうのを止めます。
カルシウム液で小梅を漬ける
Point!
- 重しは小梅の2倍の重さのもを使用します。
- 冷蔵の方が、果肉が柔らかくなるリスクは減ります。
塩を分けて使うことでシワを防ぐ
Point!
- 一度に全ての量の塩を加えてしまうと、急激な浸透圧の作用で果肉にシワが寄ってしまいます。
- 2回に分けて浸透圧を緩やかにすることで、これを防ぎます。
カルシウム液を濾す
カリカリ小梅を赤くする場合
カリカリ小梅を赤くしたい場合は、カルシウム液を濾した後に赤梅酢を足し、赤カルシウム液にして小梅を漬けていきます。
Point!
- 1週間ほどで小梅が赤く染まります。
- 赤梅酢は赤紫蘇で作ります。作り方は下記の記事を参照。
完成したら冷蔵保存
濾したカルシウム液と、洗った小梅を保存瓶に入れて完成です。保存は冷蔵庫がおすすめです。
Point!
- 冷蔵保存することでシャキッとしたカリカリ感が持続します。
- 常温保存の場合は、徐々に果肉が柔らかくなり、しんなりとしたカリカリ感になります。
5年冷蔵のカリカリ小梅
こちらは5年間、冷蔵保存していたカリカリ小梅です。無着色の方が粒が大きいですが、購入時点でのサイズが違っただけでどちらも小梅です。
白い付着物の影響も無くカリカリのままです。
Point!
- 特に腐敗などの変化も無いので、やはり白い付着物はカルシウム成分だと思われます。
シワが寄ったカリカリ小梅
遡ること7年前、2年に渡って何袋も小梅を購入して何度もカリカリ小梅を作りましたが、当初はどうしても小梅にシワが寄ってしまいました。
卵の殻を一緒に漬け込むレシピが多いですが、卵の殻を入れただけではカルシウム成分を抽出させるのに時間差があります。そうすると「カルシウム液」の方が即効性があり、最適と言えます。
塩も2回に分けて入れ、浸透圧を緩やかにした方が良いことも分かりました。
Point!
- 色々と試行錯誤した結果、今回ご紹介した方法で、まるっとしたまん丸のままで作ることができました。
カリカリ小梅を楽しむ
色々な料理にも使える
カリカリ小梅は駄菓子として販売されていることが多いので、おやつとして食べることができますが、その他にも口直しや付け合せとして料理に組み込むこともできます。
また、食材としての利用も可能です。ポピュラーなところでは、ご飯に混ぜておむすびにしたカリカリ小梅のおにぎり。
当然、米には絶対的に合うので、炊き込みご飯や、混ぜご飯、または酢飯なんかに合わせるのもおすすめ。
更にカリカリ小梅自体が塩気が強いので調味料代わりとして味の調整に使うこともできます。
まとめ
コツを押さえれば簡単に作れる
カリカリ小梅の漬け方は、コツさえ押さえておけばシワが寄らずにまるっとしたまま作ることができます。
ということで、私が色々と試した結果、獲得した方法を今回はご紹介しました。
カリッとした食感と味が、どこか懐かしさを覚えるカリカリ小梅、みなさんも自家製で手作りしてみてはいかがですか?
( o・ω・) ノ
まとめのPoint!
- 未熟な青い小梅を使う
- カルシウム液を使う
- 塩を2回に分けて使う
【赤梅酢を作る(梅干し用)】赤紫蘇漬けと赤紫蘇シロップも