秋鮭のシーズンとなる秋には、スーパーの鮮魚売り場に生筋子が並びます。
生筋子と言えば、自家製イクラ♪
(*≧∀≦*)
そして自家製イクラを作るためには、生筋子をほぐし、綺麗に掃除しなければなりません。更にアニサキス(寄生虫)の対策も気になるところですよね。
・・・ということで本記事では生筋子のほぐし方5種類と徹底的に綺麗に掃除する下処理方法、併せてアニサキス対策もご紹介していきます。
旬の生筋子を味わう 2/4頁
[2頁] 生筋子ほぐし方5種と下処理
[3頁] 本格的な筋子を自家製で作る(coming soon)
[4頁] トト豆とは?トト豆の作り方(coming soon)
[5頁] いくら・筋子のレシピ集(coming soon)
2頁目の概要
- 生筋子のほぐし方5種・キレイにする方法・アニサキス対策
生筋子をほぐすための下準備
生筋子をほぐす道具の用意
まずは生筋子をほぐすための道具を先に用意しておきましょう。
- 自分の手
- バトミントンラケット
- 焼き網
- 泡立て器
- お椀・茶碗
道具がいらない。丁寧にほぐせるが慣れが必要。
簡単にほぐせるが、家に無い場合が多い。
家庭にある場合が多いが、卵がつぶれやすい。
ナイロン製がおすすめ。鉄製は卵がつぶれやすい。
どのご家庭にもある道具なので用意がいらない。
どれもご家庭にあるもの、百均で買えるものです。下の項目 でそれぞれのやり方を解説するので、自分に合った道具を用意して生筋子をほぐしましょう。
Point!
- 道具を買う場合は先に買っておくか、生筋子と同時に買っておくと良いでしょう。
いくら用の漬け地を先に作る
イクラを浸けるための漬け地(調味液・漬け汁)に火を通す場合は、生筋子をほぐす前に漬け地を作り、ほぐす間に冷ましておくと作業がスムーズです。
Point!
- 出汁取りが必要な白出汁いくらを作る場合。
- または醤油漬けの酒・みりんを煮切って使う場合。
塩分濃度0.5%のお湯を用意
続いて、生筋子をほぐす前に塩水のお湯を用意!
塩分濃度は0.5%。量は5~6L。温度は約40℃ちょっとにします。
- 0.5%の塩水は、水1Lに対して塩は小さじ1
- 5Lなら小さじ5、6Lなら小さじ6
※正確には上記の例の場合、0.5%ではなく0.4975…%の塩分濃度になります。
※塩の種類によって重量は変わりますが、一律で小さじ1で5gとして記載しています。
この塩水お湯で生筋子を洗い、掃除しますのでたっぷりめに用意しておきましょう。
また生筋子をほぐしている間に徐々に温度が下がることを踏まえて40℃ちょい越えで用意しておき、最後まで40℃くらいで使えるようにしておきます。
Point!
- お湯を使うことで皮が縮むため、ほぐしやすくなります。
- 真水を使うと浸透圧により卵が割れやすくなったり、同じく浸透圧で味が薄まるので塩を入れます。
生筋子のほぐし方5種類を解説
生筋子をほぐす最初の一歩
- 生筋子の皮の切れ目を持ちます。
- 皮の切れ目から左右に静かに開きます。
- 卵巣の内側がめくれた状態にします。
※皮に切れ目が無ければ裂いて下さい。
ここでは生筋子のほぐし方を5種類解説しますが、5種類の方法それぞれに共通するのが最初に生筋子を開くことです。
Point!
- 皮の切れ目から開く際に、静かに左右に開いていくと、メリメリメリ…と開くことができます。
①生筋子を手でほぐす
慣れていないと時間がかかりますが、丁寧に作業をできるのが手だけ使ってほぐす方法。
Point!
- 慣れればこの方法が一番良いのではないかと思います。
Point!
- 皮から卵を剥がしていく感じです。
Point!
- 皮に包まれている感じの卵は、手の平の上で親指をすべらせて、皮の中から押し出すようにすると外しやすいです。
②生筋子をラケットでほぐす
道具を使うなら、バトミントンラケットがおすすめです。
ラケットのガット(ストリング)はナイロンが素材となっており、ほどよい弾力が生筋子へのダメージを軽減してくれます。
Point!
- 毎年いくらを作るなら、生筋子専用に購入しても良いでしょう。
購入したバトミントンラケットを洗い、ボールなどの容器の上にセットして準備完了。
Point!
- バトミントンラケットは百均でも購入できます。私はダイソーで買いました。
Point!
- ガットの弾力性と卵の弾力性があるので、けっこう強めに押し当てても大丈夫です。
Point!
- 皮や血管でつながった卵が引っかかって残るので、下から引っ張って外しましょう。
- しつこい皮や血管の処理は 下の項目 で解説。
③生筋子を焼き網でほぐす
生筋子をほぐす原理はバトミントンラケットと同じですが、焼き網の方がご家庭にある確率は高いと思います。
普段は焼き網として使える分だけ経済的と言えます。
Point!
- 生筋子をほぐすのに、わりと全国的に使われているのが焼き網。
ほぐし方はバトミントンラケットと同じです。生筋子の開いた面を焼き網に押し当てて動かし、卵を落としていきます。
詳細は バトミントンラケットの項目 を参照。
Point!
- 鉄製の分だけラケットより弾力性が低いので、あまり強く力を入れると卵が割れてしまうのでご注意下さい。
④生筋子を泡立て器でほぐす
焼き網よりも更にご家庭にある確率が高いのが泡立て器。この泡立て器でも生筋子をほぐしていくことができます。
Point!
- 鉄製のものは卵が潰れやすいのでナイロン製がおすすめです。
Point!
- 泡立て器の縦の方向へしごくのは「NG」と言うか、いまいち卵をしごき切れずに効率が悪いです。
⑤生筋子を茶碗でほぐす
最後は茶碗やお椀で生筋子をほぐす方法です。椀の縁の部分で卵をしごいて皮から外す感じになります。
Point!
- 湯呑みのような縁が太い器では卵が取りにくいようです。
生筋子の開いた面を上にして茶碗の縁を押し当て、そのまま茶碗の縁でしごく形で皮から卵を剥がしていきます。
Point!
- 焼き網も泡立て器も無いという場合に良いでしょう。
ほぐした生筋子をキレイにする
ほぐした生筋子を洗う
Point!
- 卵全体を覆っていた卵巣の皮とは別に、卵1粒1粒を包んでいる皮が卵膜です。
更に卵膜を除きキレイにする
Point!
- 1~4の工程でキレイになったように思えますが、底の方にまだ卵膜が沈んでいるので、これを取り除いていきます。
Point!
- 網をそのまま使い続けると、すくった卵膜がボウルに戻ってしまうので、こまめに洗い流しましょう。
生筋子の皮を徹底的に取り除く
Point!
- いくらは意外と丈夫なので、それなりに力を入れて転がしてもOK。
Point!
- 塩水お湯ですすがずに何度も転がしていると、水気が無くなり卵がペトペトしてきて逆に扱いにくくなります。
皮の掃除のちょっとしたコツ
まな板などをボウルに向かって斜めに設置し、その上にキッチンペーパーをセットすると卵が転がりやすくなります。
また、手で転がすと卵がつぶれそうで怖いという方は、刷毛を使って転がすと良いでしょう。
Point!
- あまり傾斜をつけ過ぎると摩擦が効かなくなるのでほどほどに。
しつこい皮・筋・血管の処理
生筋子をほぐしていると、なかなか取れない卵膜や筋、血管などに当たる場合があります。
そんな場合は指先で少しずつ卵を押し出してやる感じにするとスルっと剥けます。
上の画像のような感じでキレイに剥けます。
生筋子の下処理の仕上げ
卵膜がキッチンペーパーにほぼ付かなくなったら、あとは残りの塩水お湯でサッとすすいで終わりです。
Point!
- 上の画像の1回目は、分かりやすく皮を多めに残した状態で転がしていますが、洗っている時にたくさん取り除いていれば、ここまで皮は付きません。
あとはザルに上げて10分ほど水切りし、お好みの味のいくらを作りましょう!(。◕ ∀ ◕。)
オツカレサマ~
生筋子のアニサキス対策
安全にいくらを作る対策
- 74℃前後の塩水お湯を生筋子に注ぎ、30秒後に水切りする。
- 作ったいくらを冷凍庫で2日半冷凍する。
- 下処理中に目視で確認する。
※上の対策のいずれか、または複数を行う。
アニサキス対策としては「加熱・冷凍・目視」という方法をとります。
3つの内のどれか一つでも良いですし、複数、または全てを行っても良いでしょう。それでは以下から、アニサキス対策の詳細を解説していきます。
Point!
- 心配な方、慣れていない方は全て行うとより安心です。
- アニサキス対策の実施は自身の責任において行ってください。
アニサキスの死滅条件
- 70℃以上の加熱 ※(1)
- 60℃で1分以上の加熱 ※(2)
- -20℃で24時間以上の冷凍 ※(1)
- -18℃で48時間以上の冷凍 ※(2)
加熱に関しては、その食材の中心温度が該当の温度になっている必要があります。
冷凍に関しては家庭用の冷蔵庫では-20℃にはなりません。家庭用冷蔵庫の冷凍庫の温度は約-18℃になります。
Point!
- 上記の死滅条件に沿って生筋子のアニサキス対策をします。
生筋子をほぐしてから加熱処理
アニサキスの死滅条件に沿った温度にした塩水のお湯を用意し、生筋子に注いで既定の時間浸します。※塩水お湯の作り方は 上の項目 を参照。
< 塩水お湯の温度変化 > | |||
---|---|---|---|
用意した段階 | 生筋子に注いだ後 | (A)1分後/(B)30秒後 | |
【A】 63.9℃ | 62.5℃ | 60.9℃ | |
【B】 74.7℃ | 73.2℃ | 70.6℃ |
※お湯と生筋子の割合などによるので飽くまでも参考値として下さい。
Point!
- 温度が下がることを踏まえて少し高めの温度で用意。
- 「70℃以上の加熱」の条件となるBは、念のため30秒浸しています。
- 74℃前後の塩水お湯を生筋子に注ぎ、30秒後に水切りする。
上の画像はそれぞれ60℃以上で1分、70℃で30秒、塩水お湯に浸けた後の生筋子です。どちらも普通にいくらを作ることができました。
Point!
- 加熱後の状態はどちらもほぼ一緒だったので、より温度が高い【B】を推奨。
- ただし40℃で下処理しただけのいくらより、どちらも歯ざわり舌ざわりが硬めの仕上がりとなりました。
ほぐしてから加熱がポイント
アニサキス対策の加熱処理はほぐしてからがポイントと言うことで、その理由を解説します。まず生筋子を塊りのままで65℃のお湯に投入してみます。
65℃のお湯に入れたところで生筋子の中心温度を計ると38.7℃です。
この中心温度が60℃を越えるまで加熱し続け、60℃を越えてから1分間加熱。トータルで2分かかりました。
計2分加熱処理した生筋子をほぐし、いくら醤油漬けを作りましたが、白っぽい卵があるのがお分かりになると思います。
Point!
- 加熱時間が増えたことで卵に火が入ってしまいました。
- 塊りのままだと中心温度が60℃になるまでに時間がかかり、卵が茹で上がってしまうため。
いくらを作ってから冷凍処理
- 作ったいくらを冷凍庫で2日半冷凍する。
アニサキスの冷凍での死滅条件は-20℃で24時間、または-18℃で48時間でしたね。半日増えるのは下記の理由からです。
Point!
- 家庭用冷蔵庫の冷凍庫の温度は約-18℃です。
- いくらが完全に凍るまで半日かかるので、凍った時点から48時間冷凍して2日半という計算です。
加工してから冷凍がポイント
なぜ、冷凍するのはいくらを作ってからなのでしょうか?
上の画像は、ほぐす前の生筋子をそのまま冷凍したものです。これでは駄目なのでしょうか?その理由を見ていきましょう。
こちらは上の冷凍した生筋子を解凍してほぐした状態です。普通よりも廃棄率が高くなっています。
こちらはまた別の生筋子の一部をそのまま冷凍したもの。
こちらは特にしぼんだり、つぶれたりすることなくキレイにほぐせました。
Point!
- 生筋子を購入した時点での鮮度、収獲した時期による卵の熟成度、冷凍庫内の状態など、色々な要因によって変わると思われます。
- 生筋子の状態で冷凍するより、加工後に冷凍した方が安定して冷凍できるため。
アニサキスを目視で確認
上の画像は、私が過去に生筋子をほぐした際に実際に付いていたアニサキス2体です。ちなみに左が2022年、右は2023年で右側は既に死んでいました。
Point!
- アニサキスがいた確率は6~7本に1本って感じです。
※飽くまでも私個人の経験での話なのでその限りではありません。
刺身と違って身の中に潜り込んでいるわけではなく卵に混じって存在しているため、明らかに卵と形状が違うのでパッと見で気付くと思います。
また、食べる際にバクバクかっこんだりしなければ、食べている時に気付く確率も高いのではないかと思います。
いくら丼にしたら、かっこんじゃう気もしますが…。(´•ω•̥`)
Point!
- 刺身よりは見つけやすいと思いますが、慣れない内は慎重に確認しましょう。
まとめ
生筋子をほぐして自家製いくら
生筋子は、なかなか高価な食材ですが、加工済みのいくらを購入するよりは自分で作った方がいくらか経済的です(いくらだけに…w)。
慣れてくれば手でほぐすのがおすすめですが、ご家庭にある道具でも簡単にほぐすことができます。アニサキスが心配な方は対策をバッチリ行い、自分の手で作る自家製いくらを是非お試しください。ヾ(≧∀≦)ノ
まとめのPoint!
- ほぐす道具は鉄製よりナイロン製
- 40℃のお湯を塩分濃度0.5%で使う
- なかなか取れない卵は指先で押し出すイメージ
- アニサキス対策は加熱・冷凍・目視
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