わらびの塩蔵・乾燥・瓶詰め
【わらびの長期保存】 2/5頁
塩蔵・乾燥・瓶詰めわらびの作り方
「蕨(わらび)」と言えば、ほろ苦さが美味しい山菜です。それは正に春の楽しみと言えます。
しかし長期保存できる方法である「塩蔵わらび」や「乾燥(干し)わらび」、「瓶詰めわらび」ならば、春だけの楽しみであるそのわらびを一年中楽しむことができます!
ということで、このページでは「わらびの長期保存方法」についての情報をご紹介します。それぞれ画像で分かり易く解説していきますので、今年はわらびの長期保存に挑戦してみてはいかがですか?
(*≧∀≦*)
わらびの長期保存①【 塩蔵 】
塩で食品を保存するという原理は、古来からの人類の知恵です。わらびも塩を用いることで長期保存できるようになります。
それでは、まずは塩蔵わらびの作り方、そしてその食べ方を解説しますよ!
(๑•̀ㅂ•́)و✧
塩蔵わらびの作り方
1.塩を敷く
タッパーなどの保存容器にたっぷりの塩を敷きます。
2.わらびを敷く
その上に生のわらびを並べ、更にその上に再び塩をたっぷりとまぶします。
3.交互に重ねる
再びその上にわらびを並べ、その上に塩、その上にわらび・・・、とミルフィーユ状に交互に重ねていきます。
4.下漬け
最後にまた一番上からたっぷりの塩をまぶし、重しをします。これが下漬けとなります。
- アク抜きせずに、生のままのわらびを塩漬けします。
- 塩蔵する過程で発がん性物質も消え、アク抜きもできます。詳細は 次のページ にて。
5.10日後
10日~2週間ほどおきます。薬品のような色の水分が上がってきます。
6.水洗い
上がった漬け汁を捨て、わらびを一度水洗いします。
- 水分がなかなか上がってこない時は、誘い水として100ml~200mlくらい差し水をしてみて下さい。
7.本漬け
続いて本漬けです。下漬けと同じように、塩・わらび・塩・わらび・塩・わらび…、と重ねていき、最後に一番上に塩をたっぷりまぶします。
8.重しをする
そして再び重しを乗せます。わらびが浸るくらいの水が上がったら重しは外してOKです。そのまま常温で保存できます。
- 重しの重量は、漬けるわらびと同等~2倍くらいにします。
- 漬け汁が上がってきたら、わらびが潰れないように半分ほどの重量に変えると良いでしょう。
2ヶ月後の様子
画像:たっぷり上がった漬け汁
これは本漬けしてから2ヶ月後の様子です。ひたひたに上がった漬け汁。緑色をしていたわらびも赤紫っぽくなり、漬け汁は相変わらず薬品のような得も言われぬ色をしています。
(;^△^)
しかし、この塩で漬ける行程でアクも抜け、発がん性物質も消失します。それについては 次のページ に詳細を記載しています。
10ヶ月後の様子
画像:塩の結晶
こちらは、室内で常温のまま暑い夏を越え、10ヶ月経過した塩蔵わらびの様子です。
だいぶ漬け汁が減っています。再び細胞内に吸い込んだのか、蒸発したのかは正確には不明ですが、塩の結晶が出来ていることから、大方は蒸発したものと推測されます。
塩蔵わらびの食べ方(戻し方・塩抜き)
1.洗う
使う分の塩蔵わらびを取り出し、流水で洗い流します。
2.お湯を用意
鍋にたっぷりの水を張り、沸騰させます。
3.わらび投入
沸騰したお湯の中に、洗ったわらびを入れます。
4.火を止める
再び沸騰する直前に火を止め、そのまま一晩置いておきます。
- 鍋の中にフツフツと小さい気泡ができ、それがボコボコと大きくなる直前に火を止めましょう。
5.一晩後
一晩置いたら水を捨て、新しい水を入れます。
6.水に晒す
そのまま水に晒し、何度か水を変えながら塩抜きをしていきます。
- 端っこを切って味見しながら、塩抜きのちょうど良い頃合いを確認して下さい。
【 塩抜き後 】
塩抜きができたら、そのまま調理に使えます。
【 保存 】
保存する時はタッパーに入れて水に晒し、冷蔵して下さい。
10円玉を使って色鮮やかに戻す
塩蔵のわらびですが、銅の鍋を使って戻すと色が鮮やかに戻ります。
しかし家庭の台所ではステンレスの鍋などが一般的ですよね。
私も塩蔵わらびの為に、銅の鍋を買おうかと思ったのですが、銅の鍋は鍋界(?)のロールスロイスとも言われており、1万や2万はざら。安いものでも5~8千円くらいと、けっこう高いんですよね。
((( ;゚Д゚)))
そんな時には、10円玉や銅線、銅板なんかでも代用できます。という事で、どこの家庭にもある10円玉を使って塩蔵わらびをもどしてみましょう。
まずは10円玉を洗浄消毒
画像:浸しはじめ
画像:数時間後
さあ、とは言いましてもお金って汚いですよね(汗。誰がどのように使用していたか全く分からず、お金をそのまま食品と一緒にするのは抵抗があります。
なので、まずは10円玉の表面の汚れを落とします。
おすすめは「めんつゆ」、もしくは「醤油」に10円玉を浸しておく方法です。数時間でかなり表面の汚れが取れ、液が黒ずんできます。
画像:洗浄中
画像:煮沸消毒
表面がピカピカになったら、更に洗剤でゴシゴシと洗います。次に熱湯の中で数分間、煮沸消毒しました。
まあ、これで一応はキレイになったでしょう♪
10円玉と一緒に鍋に入れる
画像戻し中:
画像:戻し後
キレイになった10円玉と共に、塩蔵わらびを熱湯に入れます。行程は同じ。再度沸騰する前に火を止めて一晩おき、その後は水を変えながら塩抜きしていきます。
画像の右側は、ただ戻したもの。左側は10円玉を使って戻したもの。確かに10円玉を使うと色は鮮やか(?)になるようです。
まあ、ビミョーっちゃあ微妙ですが…。
(;^△^)
<注意!>
色を良くする為に、塩漬けにする時点で銅版などを入れ、そのまま漬け込んでしまう方もいるようです。しかし長期間保存しておくことで銅の成分がわらびに吸収され、銅中毒が発症する例もあるようですので、それは止めましょう。
※わらびの中毒や発がん性物質についての詳細は 次のページ で解説しています。
わらびの長期保存②【 乾燥 】
続いては乾燥わらびの作り方と食べ方を解説していきます。乾燥わらびとは、天日に干して乾燥させたわらびです。いわゆる乾物ですね。塩蔵と同じように常温で長期の保存が可能な方法となります!
(≧∀≦)ノ
チャレンジ!
乾燥(干し)わらびの作り方
1.干す
まず、アク抜きしたわらびをバットやザルなどに広げて、天日に干します。
2.揉む
だんだん萎れて柔らかくなってきますので、モミモミと時々揉みながら乾燥させていきます。
- あんまり無理に揉むとポキっと折れるので、萎び具合を見ながら揉んで下さい。
- 揉み込みながら乾燥させることで、ふっくらと戻るようになると言われています。
3.二日後
大体2日ほど干しておけば、この様になります。
4.保存する
瓶や保存袋に、乾燥剤とともに入れて保存しましょう。この状態で、常温で長期保存可能です。
- 途中で雨が振りそうだったり、振ってきたら、一度屋内へ取り込んで下さい。
- その後、晴れたら再び天日で乾燥させて下さい。
乾燥(干し)わらびの戻し方
1.水に浸す
使う分の乾燥わらびを、一晩(半日)ほど水に浸しておきます。
2.一晩後
一晩後(半日後)、水を捨てます。わらびが少し戻ってきました。
3.火にかける
鍋に水と2のわらびを入れ、これを火にかけます。
4.火を止める
沸騰する直前くらいで火を止め、ザルにあげます。
5.揉んで冷やす
4のわらびを冷水で冷やしながら、グイグイと揉んでいきます。
6.再び火にかける
再び、鍋に入れて火にかけ→沸騰直前で火を止め→冷やしながら揉む。これを三回繰り返し、最後の四回目には、火を止めたらそのままお湯の中で半日置いておきます。
【 更に半日後 】
そして半日経ったもの。これでもう食べることができます。、
【 保存 】
保存は、水に浸してタッパーなどで冷蔵保存します。
乾燥(干し)わらびをふっくら戻す方法
画像:揉み込む
画像:力の入れ過ぎ
乾燥わらびが思うように戻らない、ふっくらしない、もうちょっとふっくらさせたい、そんな時はこの方法を試してみて下さい。
冷水で冷やしながら、わらびを揉む時に、キュキュキューと1本1本丁寧に揉んでいきます。
ちなみに力を入れ過ぎると、潰れちゃうのでご注意下さい。
(;´▽`A``
画像:乾燥わらび戻し第一段階
まず、こちらの画像をご覧下さい。こちらの乾燥わらびを戻した行程は以下の通りです。
1.水に浸す(一晩)
2.(鍋で火にかけ→冷やし揉み)×3回
3.もう一度火にかけそのままお湯に浸す(半日)
大体足掛け2日の行程です。朝早くから行えば丸一日って感じ。戻しの方法としては、けっこう丁寧な方法になります。なので、この状態で充分に食べることができます。
画像:乾燥わらび戻し第二段階
続いては、こちらの画像をご覧下さい。先の画像のものよりもハリがあり、ふっくら感があるのがお分かり頂けるでしょうか?
こちらのわらびは、上の第一段階のものを更に時間をかけて丁寧に戻したものです。
1.水に浸す(一晩)
2.(鍋で火にかけ→冷やし揉み)×3回
3.もう一度火にかけそのままお湯に浸す(半日)
※↑までは同じ、↓は追加の行程
4.(鍋で火にかけ→冷やし丁寧に揉む)×3回
5.もう一度火にかけそのままお湯に浸す(半日)
「火にかけ、沸騰直前に火を止め、冷やしながら揉む」、この行程は大体3回くらいとされていますが、更に時間をかけて繰り返し、しかも1本1本を丁寧に揉みほぐすことで、こんな感じにふっくらと戻りますよ♪
(๑´ω`๑)♡
わらびの穂先を乾燥させると?
画像:穂先部分
画像:穂先付きで干し中
前のページ のアク抜きの方法でお伝えしましたが、穂先部分はボソボソ食感なので取ってからアク抜きする場合が多いです。しかし同時に、この穂先が無ければわらびじゃないと穂先部分を好む方もいます。
とは言っても、乾燥(干し)わらびの場合には、乾燥させると穂先部分がポロポロ崩れてしまいそうなイメージですが、丁寧に扱えばそんなことはありません。
画像:乾燥した穂先
画像:戻した穂先
戻しの行程で、この様に戻ります。なので穂先好きな方は、穂先付きのままで乾燥させると良いでしょう。ただしもちろん、乱暴に扱うとポロポロと取れちゃいますので注意が必要です。
わらびの長期保存③【 瓶詰め 】
それでは、最後に瓶詰めの方法をご紹介します。瓶詰めはもちろん常温での長期保存可能。そして使用する瓶を好みのもので選んで、インテリア的におしゃれに使えるのもポイントです。
(*´∀`*)
瓶詰めわらびの作り方
画像:消毒済みの瓶
画像:アク抜き済みのわらび
煮沸消毒してある空き瓶と、アク抜き済みのわらびを用意します。
瓶の煮沸消毒の方法、及び食品の瓶詰め方法は以下のリンク先をご参照下さい。
(σゝ∀・)σ
図解!食品の瓶詰めの作り方
瓶詰めわらびの食べ方
画像:常温で10ヶ月保存
画像:底に溜まった澱
こちらの瓶詰めは、常温で10ヶ月保存していたものです。もちろん真夏の暑い時期も常温で過ごしました。底には澱が溜まっていますね。色的には、塩蔵・乾燥と比較すると、一番元のままの鮮やかさを保っています。
画像:匂いを確認
画像:洗って使う
開けると山菜臭がムッと漂いますが、澱などが溜まっていても腐敗臭がしていなければOKです。これが完全に腐っている匂いだった場合は、残念ですが瓶詰めに失敗しているので処分しましょう。
瓶詰めわらびを作る際の注意点
画像:ふにゃふにゃ
画像:溶けている
瓶詰めを作る工程において、食品の煮沸消毒、そして脱気という、わらびが熱湯に浸かる二つの工程があります。そのために熱が通り過ぎてしまい、溶けたものと思われます。
また、瓶に詰める際にわらびをくるっと丸めて入れた事により、その状態が長期間続いたために茎に負荷がかかり、折れた状態になってしまいました。
これを回避するためには、熱を通す時間の調整、そして瓶に入るサイズにカットする事が必要と思われます。この点に関しては、また今シーズン試してみて、来シーズンにその結果をアップしたいと思います。
生活スタイルに合った保存方法で楽しむ♪
塩蔵わらび、乾燥わらび、瓶詰めわらびと、わらびの長期保存の方法を解説してきました。
ちなみに上の画像は、上から瓶詰め、塩蔵、乾燥で保存したわらびです。それぞれに一長一短あります。
瓶詰めは加熱の調整が難しいですが、色は鮮やか。またおしゃれな瓶を使えばインテリア的にも使えます。乾燥は戻すのが手間がかかりますが、ナムルやきんぴらを作るには最適。そして乾燥させた事で栄養価も増えます。
塩蔵は保管の場所を取りますが、瑞々しさは一番だと思います。また、保存の過程でアク抜きできることも便利です。
自分のライフスタイルに合った保存方法で、わらびを一年中楽しんでみてはいかがですか?
Σd(・ω・´)
グッ!!